自由法曹団の声明を紹介します。太字などの強調は引用者です。
この声明で危惧していた通り、川崎市教育委員会も市内の小中学校に半旗掲揚の「おふれ」を出しています。
民主主義を教える場である学校教育の現場が、政権への忖度を学ばせる場となっています。内閣府の独断で強行できるなら、これはもう緊急事態法の先取りと言える事態ではないでしょうか。
地方自治が有名無実となってしまわないよう、声を上げていきます。
2022年7月21日
自由法曹団団長 吉田健一
岸田首相は、本年7月14日、今秋に安倍晋三元首相の国葬を執り行うことを表明し、報道によれば明日にも閣議決定がされる見通しとのことである。
国葬は、国が個人の葬儀を主宰し、その費用に国費をもって充てるものであり、戦後は一例を除いて実施されることはなかった。こうしたことから安倍元首相の国葬をおこなうことについて、賛否は大きく分かれており、これを強行することは以下に述べる通り、法的にも社会的・政治的にも重大な問題をはらんでいることから、自由法曹団は強く反対する。
【法令上の根拠がなく財政立憲主義に反するおそれ】
現在、国葬について定めた法令は存在しない。もともと戦前においては、1926年に制定された勅令(国葬令)に国葬に関する定めがあったが、この勅令は、憲法に不適合なものとして「日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力に関する法律」1条に基づき失効している。
戦後唯一の例外として挙行された吉田茂元首相の国葬に関しても、塚原敏郎総務長官(当時)は「根拠になる法律もなく苦労した」と述べている。また佐藤栄作元首相に関し、国葬の実施が検討された際も、「法的根拠が明確でない」とする内閣法制局の見解等によって見送られた経緯がある。このように国葬に法的根拠のないことは明らかであり、岸田首相が内閣設置法の内閣の所掌事務として「国の儀式」にあたるとして、閣議決定があれば実施可能とした解釈は到底認められない。
このように法令上の根拠のないまま内閣の独断でこれを行うことは、政治的思惑に基づく国費の恣意的支出との批判を免れず、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」(憲法83条)とする財政立憲主義の観点から許されない。
【国民の思想・良心の自由に反するおそれ】
安倍元首相は一政党に属する国会議員であるが、その葬儀を国が主催し、国費を支出することは、個々人が故人を悼むこととは異なり国家として当該個人への弔意を表すものである。したがって、すべての国民が当該国会議員への弔意を事実上強要されることになりかねず、さらには当該政党への献金を強制されたに等しい効果を及ぼす。実際に、吉田茂元首相の国葬の際には、「国民をあげて冥福を祈る」の大号令の下、競馬や競輪などの公営競技が中止となり、娯楽番組の放送が中止され、全国各地でサイレンが鳴り響かされて職場や街頭で黙とうがささげられる、という事態が生じている。
すでに、安倍元首相の葬儀にあたり、弔旗を掲げたり、記帳台や献花台を設置したりした自治体もあり、兵庫県三田市の教育委員会のように学校現場において半旗の掲揚を求めた事例も生じている。政府が国葬を実施すれば、こうした傾向がさらに助長されることが懸念され、こうした弔意の強制は、思想・良心の自由(憲法19条)に反するものであり許されない。
【安倍元首相への批判を封じ、市民の中に分断をもたらすおそれ】
岸田首相は、安倍元首相につき「東日本大震災からの復興や日本経済の再生、日米同盟を基軸とした外交の展開など様々な分野で実績を残すなど、その功績は素晴らしいものがある」と持ち上げ、それを国葬の理由としているが、それこそ賛否が大きく分かれるものである。
安倍元首相はその在任中の2014年7月、政府が長らく専守防衛の範囲を超える集団的自衛権の行使は憲法違反となるとしてきた立場を変更する閣議決定を強行し、2015年には集団的自衛権行使を容認した安保法制を、多くの国民の反対の声を押し切って成立させた。また民主主義の基盤を根底から揺るがす特定秘密保護法の成立を強行し、「世界で一番企業が活動しやすい国にする」として掲げたアベノミクスにより、国民の中の貧富の格差を著しく拡大させた。さらに、森友・加計学園問題、「桜を見る会」等にみられる政治の私物化にかかわる疑惑等を首相自らが引き起こした上、国会で虚偽答弁を繰り返した結果、未だその真相は明らかとなっていない。さらに自殺者まで出した行政文書の改ざん問題についても、未解決なままである。こうした安倍元首相の「業績」については我々も都度批判してきたところであり、死亡によって「なかったこと」にすることは到底できない。未解決の問題については引き続き真相究明や検証が行われなければならず、安倍元首相への正当な批判が封じられることになっては決してならない。
しかし、実際には安倍元首相への批判に対する攻撃は起きており、安倍政権の後継である岸田政権を批判する街頭宣伝をしている人々に対する妨害も発生している。また北海道警が安倍元首相の演説中にヤジを飛ばした聴衆をいきなり排除した事件で、裁判所が道警の措置を違法と判断したことが警護をやりづらくさせたとする言説や、銃撃犯が在日朝鮮人である等の事実無根のデマまでが流布されるなど根拠のない非難も起きている。
こうした中で国葬を実施すれば、安倍元首相を礼讃するという実際上の効果をもたらすこととならざるを得ない。その結果、安倍元首相の批判への攻撃に拍車がかかり、市民間の分断を一層助長するおそれが強い。そうなれば自由な言論は保障されず、民主主義が危機に瀕することも懸念される。
安倍元首相の国葬を行うことに反対する意見は、すでに各界各層から表明されており、拙速に閣議決定すべき問題でないことは明らかである。よって自由法曹団は、安倍元首相の国葬の実施に強く反対し、直ちに計画の撤回を求めるものである。
以上
ときがわ町議会の中では、会派という集団によりかかって政治倫理に反する行為が目に付くようになっています。自治を押し進める立場から2017年8月9日、新聞折込みにて町内世帯対象に配布しました。
N議員(会派「翔政会」会長)
議長2年目の時、山中議員の一般質問「乗り合いタクシーを」の最中に、根拠のない議長権限を理由に発言を妨害。
「執行部がやらないと言っている。それ以上質問を続けるなら議長権限で取り消す」と脅迫。(平成27年12月議会)
平成28年3月、議長を降り、議会選出の監査委員に就任。
同年5月、会派を結成し会長に。
9月議会で政務活動費交付条例案を議員提案で出す。
平成29年、全員協議会で3月議会に政務活動費交付条例の改正を出したいとする議員との協議中に、自席から立ち上がって相手議員に議論をやめるよう大声で怒鳴った。
3月議会で監査委員でありながら予算案賛成討論を行った。
5月末、発行した会派広報紙には発行日、研修・視察の実施日、会派方針等の記載がない。広報としての最低限の要件すら欠いており、住民への説明責任を果たそうとの姿勢が欠落。
M議員(会派「翔政会」副会長)
五明にある法人勤務を公表している。平成24年、町内の大野と東松山市内の二ヵ所に住んでいる居住実態疑義が浮上。町選管で調査の結果、大野の自宅6:職場宿泊1:東松山市自宅3の割合で居住とされ、選管は被選挙権があると認めた。
これに対しては「6割寝食すれば被選挙権? 居住実態に疑問の声」と当時の新聞は報じた。これは10割住んでいることを前提に票を投じた住民の不審・不満を代弁していた。
平成28年3月、議会運営委員会の委員長に就任。
平成28年5月「翔政会」結成で副会長に。
平成29年3月議会でN・U議員同様予算案賛成討論を行った。
U議員(会派「翔政会」所属)
2期目の26年9月議会を最後に、一般質問に1回も立たないまま今日に至っている。執行部への質問や政策提案の権利を生かしていない。
平成28年3月、副議長、議会報編集特別委員会委員長に就任。
同3月議会では「安保法制可決無効の意見書を」との請願審議があった。請願者の添付資料(採決時の無法状態を報じる新聞記事)についてU議員は「東京新聞だけで、ほかの新聞はどうなんだ」「新聞が必ずしも正しいとは認識していない」と発言。メディアが連日報道していた事実を無視し紹介議員に噛み付いた。この発言は本人訂正もないまま議事録に残っている。
議会だよりもU議員が委員長となって以来、編集の公平性がなく、文章や字句に間違いが多い。粗雑な編集は町民に「議会だよりは正しくない」を広めることに貢献する結果を招いている。
O議員(会派「翔政会」所属)
平成28年3月、総務産業建設常任委員会の委員長に就任。
平成29年6月議会では委員会報告の際、委員長に禁じられている「個人的見解」を陳述してしまい、職責を理解していないことを暴露した。
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2016年度第3回定例会で政務活動費交付条例を反対3・賛成8で可決した。
野口議員が提出者となった議員提出議案でありながら、全会一致での採択とはならなかった。野原議員が「協議を尽くしていない」と指摘していたことからも、議員全員の合意を得る丁寧な議論がなく、議案提出を急いだことがうかがわれる。
また、野口議員は議会選出の監査委員を務めるが、自らが代表となって「会派」を結成することを明らかにしている。そこには正副議長も所属するとのことで、この点からもときがわ町議会政治倫理条例にある高潔な理念は、残念ながらかすんでしまっていると言える。
富山市議会の不正流用事件以来、大きく報道されているのは、「会派」に一律支給されることで、個々の議員の不正流用が隠れてしまうという点と、事前の一括交付であるために「使い切らないと損」という感覚を引き起こしたという点である。
政務活動費は、議員個々人に交付することとし、事前交付ではなく、使った分を申請して給付を受けるという形にしたほうが、透明性は増す。
このような議論がなく、「会派ありき」で交付条例を提出した経緯自体が透明性に欠ける。
研修・視察の事前届け出や事後報告など、町民からすれば当然の義務であり、嵐山町などでは条項として設けているが、なぜかわが町ではその条項も不要というのが多数の意見だったようだ。
これでは、誰がどんな活動にいくら使ったのか、つかむことは難しい。
「文句があるなら修正案を出せ」と言う前に、町民に納得してもらえるか、考え直すべきだろう。
昨年の参院での「可決すべきものとする」として後日捏造された採決自体の違法性を指摘し、無効とする意見書提出を求めたが、賛成少数で不採択。
反対討論がふるっている。「防衛・外交は地方議会の権限外」というものだった。平成12年、地方分権推進に伴い、地方自治法醍99条が新たに設けられた意味が理解されていない。
しかも、議会が終った翌日、請願者の自宅ポストには、反対の論拠にした部分以外は白い紙で隠した「議員必携」のコピーが投げ込まれていた。
「犯人」は分らないまま、とにかく週明けに議長宛に「現職議員の行動だろう」として抗議と謝罪要求の文書を出した。
ときがわ町議会は、これまでも議長が特定の議員排除を働きかけたり、「6割居住」の議員に常任委員会委員長を任せたり、と「倫理」に疎い面があったが、今回は「対住民」であり「議場外」である。
「辞職勧告」も有効でない事態に、どのように対処するのか、議会議員全員が問われている。
国の自治が大きく揺らいだこの一年、ときがわ町の自治も政権の「多数安定」をたのむかのような危うさを見せた。
町長が小中学生サッカーの「根拠地」としている本郷地区のグランドを議員も知らないうちにソーラー発電の企業に貸し付ける協定を結んでしまうという暴挙か判明したことから年が明けた。全国の自治体と「屋根貸し」や「土地利用」の協定を続々と締結してきたという「成果」を誇るこの企業は、住民と対話しようという考えは毛頭なかった。なぜなら「説明」に来たと称する常務は「我々はニッチの土地を探している」と地元の住民を前に言明したのだから。
桜並木や川原にそった緑陰、少年野球やサッカーができるグランド、しかもソーラーパネルが並ぶ予定地の隣は社協のデイサービス施設。「緑と清流」の町の憩いの場でもあることから、地権者の承諾まで得たというこの計画は住民の反対運動で頓挫したが、住民の価値観を否定する町長と、その町長の独断を許してしまう執行部、議会と言う構図が見えた事件だった。
こういう時にきちんと住民の側に立って進めるべきだと発言した議員は12人中二人だけだった。「多数」の側による、あからさまな、あるいは陰湿な議会活動への介入が、ここから始まった。
12月議会。結局そのときの一人、山中議員は一般質問の最中に議長から「執行部ができないといっているものはできないんだから、それ以上やるよう発言を続けるなら、発言を禁止する」という趣旨の「脅し」をかけられた。傍聴していて、執行部が逃げ腰できちんと答弁していないことは感じていたが、その執行部の態度を注意するのではなく、議員に脅しをかけてきたことには驚いた。しかも会議規則54条を盾にして「議長として発言を止めさせられる」と信じ込んでいる。
事後、私はただちに議長に対して「申し入れ書」を出した。
今週になってから、当の議員も議長に「抗議文」を出した。
実は9月議会の一般質問でも、もう一人の議員の一般質問通告書の中身が議長によって、当人の許可なく削除されていた、という「事件」があった。ご本人は議会での一般質問を終えた直後、「議長による理不尽な削除に抗議する」と発言したが、議長権限で「削除」とされた。ただ、その後の活動報告に一連の経過を掲載し、折込み配布したから、多くの住民が議会が何か変だ、とは感じたのではないだろうか。
安倍政権と多くのメディアのように、チェックすべき対象と利害を共有してしまって、それに反する人間をつるし上げるようなことをしていては、「自治」は自滅する。
辺野古を黙殺すれば、次はこんな小さな町の自治すら、守れなくなる。2015年はそんな構図をさまざまな角度から、見せてくれた。
ときがわ町のいま
山間地・中山間地からなり、農林業と木工業が基幹産業だった旧都幾川村と、平地に恵まれ
工業団地も開発してきた旧玉川村という、異質の村が一つの町を形成。
6年前の合併当時には1万4千人ほどだった人口も、いまでは1万2千人ちょっとにまで減少。
山間部は尾根で隔てられたいくつかの集落に分かれ、高齢化とともに空き家や耕作放棄地の
増加が切実な問題となっている。
町全体としても高齢化率が26%を超え、、生活の足の確保、介護の保障、在宅医療の充実など焦眉の課題は山積している。
ときがわ町のこれから
障害者福祉計画、地域福祉計画、総合振興計画(後期)の策定で、今後の方向性を定めることになる。昨年注目を浴びた「町立美術館」問題以来、議会や職員は、その質を高め、「自己点検機能」が働くようになってほしいと住民は願っている。
そのためにも住民との「協働」は不可欠。